2週間ほど前の話です。
都内で、某書店主催による教育系出版社20数社が集まる、来春に向けた情報交換の会議が行われました。
その書店は、関西の大都市の中心部にあります。
規模はそんなに大きくありませんが、教育書を一つの柱とした、ちょっと珍しく、貴重な、気骨のある書店です。
社長さんは、地域の書店商業組合の理事長をされています。
2014年4月に出版活動をスタートした中村堂は、その年の年末にこの会議に初めて参加させていただき、今回で3回目の参加となりました。
今春の出版界の全体状況と教育書の販売状況が、取次から報告されたあと、その書店の今春の状況、今秋の店舗の改装についての報告がありました。
出版業界に明るい話題は少なく、今春の苦戦が報告されたわけですが、社会、あるいは出版の全体状況のいかんに関わらず、自身の力量がそのまま反映する中村堂にとっては、正直そんなに参考になる話はありません。
会議の中で、社長からのご指名で、最初に最大手の出版社が状況を報告しました。
その後、なぜか2番手に指名された私は、今の思いを自分なりに話しました。
発言の中心は「その書店をどう盛り上げるか」ということと「中村堂の役割」について。
その後、10名程度の方が話をされました。
そこで出された話は、ほとんどがちょっと残念なものでした。
最も創造的でなくてはいけないはずの版元から、創造性が伝わってこないのです。
・最新(?)の教育情勢をしたり顔で語り、占いのような話をする人。
・「後追いできる定番をつくってほしい」と他社に求める編集者。
・発言の場で、個別の打ち合わせをし始める社。
会を主催されている書店は、志のある書店です。
会議を進められた社長、店長、店長代理の3人の方からは、その店を背負う覚悟が伝わってきます。
小さな書店ですから、それはある意味、必然なのかもしれません。
時間とお金を使って、関西から来られて、会議を設定されている書店に申し訳ないと、私は思いました。
そこに参加する版元から「責任」が伝わってこなかったからです。
出版界が疲弊しているのは読者(消費者)のせいでは決してありません。
読者が買って読みたいと思う本がつくられ販売されてないということ、ただそれだけだと思います。
それ以外の理由は、ただ責任をあいまいにするためのものだと私は思っています。
私は、自戒の意味でのみ、このことを記します。