教育とコミュニケーションについて考える 東京下町の二人出版社  Create New Value!  Create New Wave!

「探究学習への提言」NEWS vol.4 (2025.12.20)

「『探究学習への提言』NEWS」 vol.4 (2025.12.20)

「先行き不透明な時代を生き抜くための探究学習への提言」に関する情報を連続10回でお伝えする「『探究学習への提言』NEWS」の第4回です。

※本NEWSのバックナンバーは、中村堂ホームページに掲載しています。
https://nakadoh.com/?page_id=6167

本書の「もくじ」です。
—————————————–
はじめに
第1章 先行き不透明な時代を生き抜くための探究学習
第2章 探究学習を拓くSTEAM教育の展開
第3章 探究と創造活動の親和性
第4章 観光教育を活用した地域探究の実践
第5章 探究的教師教育の実践モデルと今後の展望
第6章 探究学習における生成AI活用の実践的アプローチ
第7章 行動分析学の知見に基づく探究学習
特別鼎談 『偽物の探究』はもう終わり
おわりに
—————————————–

もくじの詳細は、Amazonの商品サイトでご覧いただけます。
https://www.amazon.co.jp/dp/4911682019/

本号では、「第3章 探究と創造活動の親和性」の内容について紹介します。
第3章の執筆は、 牧野香里先生(北海道教育大学函館校准教授)が担当されました。

第3章は、7節で構成されています。
1 「探究」という言葉に込められた先人の思い
2 創造活動における探究とは
3 創造の本質と教育的意義
4 探究と創造の共通基盤
5 芸術実践から見た探究の可能性
6 教育実践への展開と課題
7 探究と創造の教育的価値と展望

1節では、「探究」という言葉の語源について言及されています。
「探」と「究」の字源から、古代中国の人々が、未開拓の土地を松明の光を頼りに、命がけで探索する姿がこの漢字の原型であることを説明した上で、
「この字源が物語るのは、人間の根源的な知的欲求である。既知の安全な領域を離れ、未知の世界に踏み込もうとする勇気と意志。それは単なる好奇心を超えて、真実を求めて進み続ける人間の本質的な営みを表している。」
とまとめられています。

2節では、創造と探究の関係について、「創造活動における探究の本質は、完成や解答を目指すことではなく、『問い続ける姿勢』そのものにある。」と示されています。

3節では、創造の本質と教育的意義として、創造活動は単なる芸術的技能の習得ではなく、知性と感性を統合した高次の学習活動との立場から、ジョン・デューイの経験概念を出発点として、芸術実践に内在する学びの構造を明らかにしています。

4節では、「芸術家と研究者は、一見異なる領域で活動しているように見える。しかし、両者は世界に対して根源的な『問い』を立て、新たな可能性を切り拓くという点で本質的に共通している。探究と創造の共通基盤について、両者は世界に対して根源的な『問い』を立て、新たな可能性を切り拓くという点で本質的に共通している。」と、探究と創造の親和性を詳説しています。

5節では、芸術実践から見た探究の可能性について、「図工・美術教育における『創作=探究』の具体的な導入方法を提示し、過程を重視する教育の意義、協働的探究、ICT 活用、そして日本国内の優れた先行事例を検討」します。

6節では、「芸術を探究として捉えることで開ける教育の可能性」について、「創造活動を通じた探究学習は、単なる教育手法の一つではなく、人間の本質的な学習の営みとしての創造性を教育の中心に据えることを意味している。これこそが、未来の教育が目指すべき方向性である」と結論づけています。

7節では、「探究と創造の教育的価値と展望」について検討し、結論として冒頭に示した語源につなげ、「松明を手に未知の洞窟へ踏み出す勇気を持ち続けることが、これからの時代を生きる学習者に最も必要な力なのである。」と提言しています。

—————————————-

芸術教科と探究の親和性について、学ぶことの多い章です。

牧野先生は、大学で教鞭をとりつつ、日本画家として制作活動を継続し伝統的な日本画技法を基盤としながら現代的な表現を探究されています。
本書のカバーの絵は、牧野先生の作品です。

 

お問い合わせ先 TEL 03-5244-9939 09:00-17:00 (祝日を除く月~金)

メールでお問い合わせはこちら
Copyright © 株式会社中村堂 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.